2016年08月26日
相手の唇を押さえ
だが今度はそう簡単にはいかなかった。かつてガリオンが洞窟でよみがえらせた小馬は、母親の胎内で生きていて、出たとたんに死んだのだ。したがってその死は生と同じようにかすかなものであり、障壁からすぐ手の届くところにあった。だがダーニクは立派に成人した男性であり、その死もまたはるかに強固なものだった
。ガリオンは体中の力をふりしぼって意志を集中させた。かれはまた神々の意志が沈黙のうちに結集された巨大な力をも感じとっていた。だがそれでも障壁は崩れようとしなかった。
(〈珠〉を使え!)内なる声が指示した。
ガリオンはすぐに自分の力と神々のそれとをあわせ、手のあいだの石に向かって集中させた。
〈珠〉はまたたき、輝きだしたかと思うと、再度またたいた。
(助けてくれ!)ガリオンは命じた。
するとただちにその命令を了解したかのように、〈珠〉は目もくらまんばかりの光を発射した。障壁はしだいに弱まっていくようだった。
エランドが励ますようなほほ笑みを浮かべながら、自分の手を〈珠〉の上に置いた。
次の瞬間、障壁が破れた。ダーニクの胸が大きく隆起し探索四十學習研修たかと思うと、一度だけ咳をした。
永遠の顔にいんぎんな表情を浮かべた神々は一歩下がった。ポルおばさんは安堵の叫びをあげると、ダーニクに腕をまわし、固く抱き寄せた。
「使命《エランド》」少年は不思議な満足をにじませながらガリオンに言った。ようやく立ちあがったガリオンは、精も根もつき果て、足元もさだまらないありさまだった。
「大丈夫?」セ?ネドラはガリオンの腕の下にさっと身をくぐらすと、相手の体を支えるように肩をぴったり押しつけた。
かれはうなずいたが、ひざがふるえていた。
「わたしに寄りかかって」セ?ネドラが言った。
かれは抗議しようとしたが、彼女の手はしっかりていた。「ごちゃごちゃ言うのはやめてちょうだい、ガリオン。わたしはあなたを愛しているのだし、あなたはこうやって一生わたしに寄りかかっていくことになるんだから、今から慣れておいた方がよくてよ」
「どうやらこれでわたしの人生も変わらざるをえないようですな、〈師〉よ」ベルガラスがアルダーに向かって言った。「これまではいつでもポルがそばにおりました。離れていても呼べばすぐに――まあ、いつも喜んでというわけではないでしょうが――わたしのもとへ飛んできました。だがこれで彼女にも別の関心事ができてしまったわけですからな」老人はため息をついた。「どうやら子供たちはみないつのまにか成人して結婚してしまうようですな」
「そのような態度はおよそおまえには似つかわしくないぞ、わが息子よ」アルダーは言った。
ベルガラスはにやりと笑った。「まったくわが〈師〉は何もかもお見通しですな」そう言ってかれは再びま顔に戻った。「今までポルガラはわたしにとって息子のようなものでした。だがどうやらあれを女性に戻してやるときが来たようですな。わたしはあまりにも長くそれを禁じていたようだ王賜豪總裁」

。ガリオンは体中の力をふりしぼって意志を集中させた。かれはまた神々の意志が沈黙のうちに結集された巨大な力をも感じとっていた。だがそれでも障壁は崩れようとしなかった。
(〈珠〉を使え!)内なる声が指示した。
ガリオンはすぐに自分の力と神々のそれとをあわせ、手のあいだの石に向かって集中させた。
〈珠〉はまたたき、輝きだしたかと思うと、再度またたいた。
(助けてくれ!)ガリオンは命じた。
するとただちにその命令を了解したかのように、〈珠〉は目もくらまんばかりの光を発射した。障壁はしだいに弱まっていくようだった。
エランドが励ますようなほほ笑みを浮かべながら、自分の手を〈珠〉の上に置いた。
次の瞬間、障壁が破れた。ダーニクの胸が大きく隆起し探索四十學習研修たかと思うと、一度だけ咳をした。
永遠の顔にいんぎんな表情を浮かべた神々は一歩下がった。ポルおばさんは安堵の叫びをあげると、ダーニクに腕をまわし、固く抱き寄せた。
「使命《エランド》」少年は不思議な満足をにじませながらガリオンに言った。ようやく立ちあがったガリオンは、精も根もつき果て、足元もさだまらないありさまだった。
「大丈夫?」セ?ネドラはガリオンの腕の下にさっと身をくぐらすと、相手の体を支えるように肩をぴったり押しつけた。
かれはうなずいたが、ひざがふるえていた。
「わたしに寄りかかって」セ?ネドラが言った。
かれは抗議しようとしたが、彼女の手はしっかりていた。「ごちゃごちゃ言うのはやめてちょうだい、ガリオン。わたしはあなたを愛しているのだし、あなたはこうやって一生わたしに寄りかかっていくことになるんだから、今から慣れておいた方がよくてよ」
「どうやらこれでわたしの人生も変わらざるをえないようですな、〈師〉よ」ベルガラスがアルダーに向かって言った。「これまではいつでもポルがそばにおりました。離れていても呼べばすぐに――まあ、いつも喜んでというわけではないでしょうが――わたしのもとへ飛んできました。だがこれで彼女にも別の関心事ができてしまったわけですからな」老人はため息をついた。「どうやら子供たちはみないつのまにか成人して結婚してしまうようですな」
「そのような態度はおよそおまえには似つかわしくないぞ、わが息子よ」アルダーは言った。
ベルガラスはにやりと笑った。「まったくわが〈師〉は何もかもお見通しですな」そう言ってかれは再びま顔に戻った。「今までポルガラはわたしにとって息子のようなものでした。だがどうやらあれを女性に戻してやるときが来たようですな。わたしはあまりにも長くそれを禁じていたようだ王賜豪總裁」
Posted by 風に吹かれて at
12:40
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2016年08月16日
内なる乾いた声
「頼むから黙っていてくれ」ガリオンはいらいらしながら言った。「少し考えさせてくれ」ようやくかすかに解決らしきものがほの見えてきたような気がした。
「よし」かれはやっと口を切った。「それではこうしよう。今すぐにこの短剣と布切れを持って港へ行き、ただちにその二つを海に投げ捨ててこい。それが終わったら、なにごともなかったように振る舞うんだ」
「ですが、陛下――」
「最後までよく聞くんだ。いいか、ぼくもきみももう二度とこの話はしない。きみの涙ながらの罪の告白も聞きたくはない。そして絶対に自殺することは許さない。いいな、オルバン」
若者は無言でうなずいた。
「ぼくにはきみのおとうさんの助けが何としても必要なんだ。こんなことが露見して、かれが個人的な不幸に悩むようなことがあっては絶対に困る。今回の事件はいっさいなかったことにする。これでこの件に関してはおしまいだ。さあ、これを持ってさっさと行ってくれ」そう言ってガリオンは短剣と布きれを若者の手に押しつけた。とたんにむらむらと怒りがわきあがってきた。肩ごしにびくびく視線を送った何週間かはまったくの徒労――もしくは無用の日々だったのである。「もうひとつ言っておくことがある、オルバン」かれは踵を返しかけた失意の若者に向かって言った。「これ以上ぼくに短剣を投げるのは止めてくれ。もしどうしても決着をつけたければ、ぼくに面と向かって言うがいい。どこか人目につかない場所で互いの体を切り刻むまで相手をしてやるから」
オルバンはすすり泣きながら逃げ去った。
(なかなかみごとな手際だったぞ、ベルガリオン)
が称賛するように言った。
「ああ、もうやめてくれ」ガリオンは言った。
その夜、かれはほとんど眠れなかった。いくつかの点で、オルバンに対して下した判断が果たして妥当なものだったか、ガリオンには自信がなかった。だが総体的において、かれは自分の取った行動に満足していた。オルバンの行為は父親の失脚の原因になったと思いこんだものを抹殺しようという、きわめて衝動的な犯行に過ぎなかった。その裏には何らの陰謀も隠されていないことは明らかだった。オルバンはガリオンの寛大めかしたそぶりを恨むかもしれないが、もはや背後から短剣を投げたりはしないだろう。ガリオンが一晩中悶々として眠れなかったのは、これから始まる戦争に対するベルガラスの憂うつな見通しだった。ようやく明け方近くになって眠りに落ちたかれは、額に汗をびっしょりかいて恐ろしい悪夢から目覚めた。年老い疲れ切ったガリオンが、白髪まじりのくたびれた男たちを率いて勝ち目のない戦いに出発する夢だった。
(むろん他にも方法はある――ただしおまえがわたしの言うことにいちいち駄々をこねることをやめればの話だが)ベッドの上にとび起きてがたがた震えるかれに内なる声が呼びかけた。
「何だって」ガリオンは思わず声に出して叫んでいた。「ああ、ごめんよ。こんな言いかたするつもりじゃなかった。
「よし」かれはやっと口を切った。「それではこうしよう。今すぐにこの短剣と布切れを持って港へ行き、ただちにその二つを海に投げ捨ててこい。それが終わったら、なにごともなかったように振る舞うんだ」
「ですが、陛下――」
「最後までよく聞くんだ。いいか、ぼくもきみももう二度とこの話はしない。きみの涙ながらの罪の告白も聞きたくはない。そして絶対に自殺することは許さない。いいな、オルバン」
若者は無言でうなずいた。
「ぼくにはきみのおとうさんの助けが何としても必要なんだ。こんなことが露見して、かれが個人的な不幸に悩むようなことがあっては絶対に困る。今回の事件はいっさいなかったことにする。これでこの件に関してはおしまいだ。さあ、これを持ってさっさと行ってくれ」そう言ってガリオンは短剣と布きれを若者の手に押しつけた。とたんにむらむらと怒りがわきあがってきた。肩ごしにびくびく視線を送った何週間かはまったくの徒労――もしくは無用の日々だったのである。「もうひとつ言っておくことがある、オルバン」かれは踵を返しかけた失意の若者に向かって言った。「これ以上ぼくに短剣を投げるのは止めてくれ。もしどうしても決着をつけたければ、ぼくに面と向かって言うがいい。どこか人目につかない場所で互いの体を切り刻むまで相手をしてやるから」
オルバンはすすり泣きながら逃げ去った。
(なかなかみごとな手際だったぞ、ベルガリオン)

が称賛するように言った。
「ああ、もうやめてくれ」ガリオンは言った。
その夜、かれはほとんど眠れなかった。いくつかの点で、オルバンに対して下した判断が果たして妥当なものだったか、ガリオンには自信がなかった。だが総体的において、かれは自分の取った行動に満足していた。オルバンの行為は父親の失脚の原因になったと思いこんだものを抹殺しようという、きわめて衝動的な犯行に過ぎなかった。その裏には何らの陰謀も隠されていないことは明らかだった。オルバンはガリオンの寛大めかしたそぶりを恨むかもしれないが、もはや背後から短剣を投げたりはしないだろう。ガリオンが一晩中悶々として眠れなかったのは、これから始まる戦争に対するベルガラスの憂うつな見通しだった。ようやく明け方近くになって眠りに落ちたかれは、額に汗をびっしょりかいて恐ろしい悪夢から目覚めた。年老い疲れ切ったガリオンが、白髪まじりのくたびれた男たちを率いて勝ち目のない戦いに出発する夢だった。
(むろん他にも方法はある――ただしおまえがわたしの言うことにいちいち駄々をこねることをやめればの話だが)ベッドの上にとび起きてがたがた震えるかれに内なる声が呼びかけた。
「何だって」ガリオンは思わず声に出して叫んでいた。「ああ、ごめんよ。こんな言いかたするつもりじゃなかった。
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2016年08月08日
いた方がいいのだ
「全アロリアよ祝福せよ!」ベルガラスの声は雷鳴のように轟いた。「リヴァの王が帰ってきたぞ! 万歳、ベルガリオン! リヴァの王にして〈西の支配者〉よ」
それに続く喧噪と、世界の一方の端からもう一方の端まで届きそうな、何万という歓喜の声のさなかに、ガリオンははっきりと別の音を聞いていた。それはまるで暗闇に閉ざされた墓の錆びた扉が突然開いたような、陰うつな金属音だった。その陰惨な響きはガリオンの心を恐怖で凍りつかせた。開けられた墓からうつろな声が起こった。それは全世界の歓喜の声には決して唱和しようとしなかった。何世紀にもわたる眠りを破られた声の主は怒りとともに目覚め、血を求めて咆哮をあげた。
驚きのあまり考えることすらできずに、ガリオンは頭上高く燃える剣を掲げ続けていた。金属のかすかにふれ合う音とともに、アローン人たちはいっせいにかれらの剣を抜き、新王に敬礼の意をあらわした。
「万歳、ベルガリオン。わが主君よ」〈リヴァの番人〉ブランドは朗々たる声で叫ぶと、剣を一方の手に掲げたまま片ひざをついた。背後に控える四人の息子たちも同様に片ひざをついて剣を掲げた。「万歳ベルガリオン、リヴァの王よ!」かれらはいっせいに唱和した。
「ベルガリオン万歳!」歓喜の声が〈リヴァ王の広間〉を揺さぶらんばかりに轟いた。林立する無数の剣が、ガリオンの手中にある青い炎を発して燃える剣の光を受けていっせいにきらめいた。砦のどこからか鐘の音が響きはじめた。またたく間によき知らせは静かな街をかけめぐり、あちらこちらからもあらたな鐘の音が起こった。その歓喜の響きは岩山にあたってはね返り、凍てついた海にリヴァ王の帰還を告げた。
だが〈リヴァ王の広間〉でたった一人だけ歓呼に加わらない人物がいた。炎を吹く剣がいやおうなしにガリオンの正体を暴露したとたん、王女セ?ネドラは立ち上がった。その顔は死人のように青ざめ、瞳はろうばいで大きく開かれていた。彼女は突然ガリオンを避けねばならない理由に思いあたったのである。あまりに心かき乱された王女は血の気が失せた顔で突然立ちあがり、絶望感に打ちひしがれたまなざしをじっとガリオンに向けた。だしぬけにセ?ネドラ王女の唇から怒りと抗議の叫び声がもれた
何といっても一番困るのは、行きあう人々がみなかれにお辞儀することだった。ガリオンにはまったくどうしていいかわからなかった。自分もお辞儀をかえした方がいいのだろうか。それともわかったというしるしにうなずいてみせればいいのか。さもなければまったくそ知らぬふりをしてろうか。だが相手に〝陛下?といわれたときにはどうすればいいのだろう。
昨日のできごとはまだ混沌とした記憶のかなたにかすんでいた。かれは〈要塞〉の胸壁から群衆の歓呼にこたえた。この期に及んでもほとんど重さを感じさせない巨大な剣は、あいかわらずかれの手のなかで燃え続けていた。たしかにそれは途方もないことには違いなかったが、そういった表面的なことがらは、日常的な生活面での大変化に比べれば問題にならなかった。リヴァ王の帰還の瞬間に向けて膨大な力を一気に集中しなければならなかったため、はじめて自分の正体を知った目くるめくような体験のなかで見聞したできごとが、いまだにガリオンの頭をすっかりぼうっとさせていたのだ。
次から次へと届けられる祝賀の言葉も、戴冠式に備えてのもろもろの用意も、かれの頭のなかでぼうっとかすんでいた。間違いなくかれ自身の生活だというのに、一日のできごとを筋道たてて論理的に説明することすらできなかった智慧肌膚管家。

それに続く喧噪と、世界の一方の端からもう一方の端まで届きそうな、何万という歓喜の声のさなかに、ガリオンははっきりと別の音を聞いていた。それはまるで暗闇に閉ざされた墓の錆びた扉が突然開いたような、陰うつな金属音だった。その陰惨な響きはガリオンの心を恐怖で凍りつかせた。開けられた墓からうつろな声が起こった。それは全世界の歓喜の声には決して唱和しようとしなかった。何世紀にもわたる眠りを破られた声の主は怒りとともに目覚め、血を求めて咆哮をあげた。
驚きのあまり考えることすらできずに、ガリオンは頭上高く燃える剣を掲げ続けていた。金属のかすかにふれ合う音とともに、アローン人たちはいっせいにかれらの剣を抜き、新王に敬礼の意をあらわした。
「万歳、ベルガリオン。わが主君よ」〈リヴァの番人〉ブランドは朗々たる声で叫ぶと、剣を一方の手に掲げたまま片ひざをついた。背後に控える四人の息子たちも同様に片ひざをついて剣を掲げた。「万歳ベルガリオン、リヴァの王よ!」かれらはいっせいに唱和した。
「ベルガリオン万歳!」歓喜の声が〈リヴァ王の広間〉を揺さぶらんばかりに轟いた。林立する無数の剣が、ガリオンの手中にある青い炎を発して燃える剣の光を受けていっせいにきらめいた。砦のどこからか鐘の音が響きはじめた。またたく間によき知らせは静かな街をかけめぐり、あちらこちらからもあらたな鐘の音が起こった。その歓喜の響きは岩山にあたってはね返り、凍てついた海にリヴァ王の帰還を告げた。
だが〈リヴァ王の広間〉でたった一人だけ歓呼に加わらない人物がいた。炎を吹く剣がいやおうなしにガリオンの正体を暴露したとたん、王女セ?ネドラは立ち上がった。その顔は死人のように青ざめ、瞳はろうばいで大きく開かれていた。彼女は突然ガリオンを避けねばならない理由に思いあたったのである。あまりに心かき乱された王女は血の気が失せた顔で突然立ちあがり、絶望感に打ちひしがれたまなざしをじっとガリオンに向けた。だしぬけにセ?ネドラ王女の唇から怒りと抗議の叫び声がもれた
何といっても一番困るのは、行きあう人々がみなかれにお辞儀することだった。ガリオンにはまったくどうしていいかわからなかった。自分もお辞儀をかえした方がいいのだろうか。それともわかったというしるしにうなずいてみせればいいのか。さもなければまったくそ知らぬふりをしてろうか。だが相手に〝陛下?といわれたときにはどうすればいいのだろう。
昨日のできごとはまだ混沌とした記憶のかなたにかすんでいた。かれは〈要塞〉の胸壁から群衆の歓呼にこたえた。この期に及んでもほとんど重さを感じさせない巨大な剣は、あいかわらずかれの手のなかで燃え続けていた。たしかにそれは途方もないことには違いなかったが、そういった表面的なことがらは、日常的な生活面での大変化に比べれば問題にならなかった。リヴァ王の帰還の瞬間に向けて膨大な力を一気に集中しなければならなかったため、はじめて自分の正体を知った目くるめくような体験のなかで見聞したできごとが、いまだにガリオンの頭をすっかりぼうっとさせていたのだ。
次から次へと届けられる祝賀の言葉も、戴冠式に備えてのもろもろの用意も、かれの頭のなかでぼうっとかすんでいた。間違いなくかれ自身の生活だというのに、一日のできごとを筋道たてて論理的に説明することすらできなかった智慧肌膚管家。
Posted by 風に吹かれて at
13:02
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