2017年04月20日
最善を言ってくれ

団結して隕石群を消滅させることを確認。 それと同時に、全人類と生物を宇宙ステーションと他惑星に移住させる計画も動き始めました。 各惑星では受け入れ態勢がスタートし、食料や住居などの生産が始まっているとのことです』
「なるほど、むざむざ死ぬというわけでもないようだな」
「当たり前です。でなければ、政府はこんな風に発表したりしなかったでしょう」
「確かに。ちなみに、今回は政府発表ではなく宇宙管制司令室からの情報だぞ」
「どちらも同じことです。宇宙管制司令室はつい最近政府直轄になりましたから」
「あ、さいですか」
さすがAI。何でも知ってる。
俺の憮然とした態度を気にすることもなく、AIは言葉を続ける。
「そんなエンデ滅亡よりも、まずは定職を探しましょう」
「“よりも”って、おいおい」
「どうせ滅亡しないんです。とにかく、当面の課題は定職を探すことです」
だめだ、こいつの中では定職一番らしい。さすがAI。る。
事実、俺自身さすがにこうやってふらふらしているのもどうかと思っていた。
いい加減真面目に生きなければいけないだろう。
何らかの能力や才能があれば俺もそれを糧にして生きていけるに違いない。
しかし俺は完全な凡人。
身長も1m70cmとごく普通、中肉中背、特技としてはワイズテリー航法の知識は多少あるものの、役に立つほどじゃない。
ああ、ワイズテリー航法についてもっと知っていれば………
「あ、そうだ!」
「なんですか、一体」
ワイズテリー航法で思い出した。
あいつなら今回の隕石飛来について何か知っているところがあるんじゃないだろうか。
「人に会う約束があったのを思い出した」
「………あなたという人は」
AIが脳内でため息をつく。
Posted by 風に吹かれて at
12:01
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2017年04月05日
説明を聞けたはず

かしら、と期待しました。もっとも、なぜそんなものが、ここに立っているのかは、わかりませんが。でも、その立像が口をきいたものですから、ミルドレッドのむなしい期待も、すぐに、こなごなにくだけ散ってしまいました。
「だれがこんなことをしたのか、たずねる必要もありません。明白です」バケツの中から、おなじみの声が、聞こえてきました。「ミルドレッド・ハブル、まことにおそれいりますが、この苦境をのがれるために、手をかしてくれませんか?」
もし、だれかほかの先生が、バケツを頭からかぶって水をしたたらせている姿を見たら、生徒たちは大わらいをしたことでしょう。でも、何ものであれ、nuskin 如新ハードブルーム先生の威厳をそこなうことは、できなかったのです。あたりは、針が落ちても聞こえるほど静まりかえり、だれの口もとにも、びしょうの影さえ浮かんでいません。ミルドレッドは、その中をすすみ出て、つま先立ちで、バケツをはずしました。
ハードブルーム先生のふたつの目は、物が見えるようになるやいなや、レーザー光線のように、ミルドレッドをさしつらぬきました。
「ありがとう、ミルドレッド」先生の声は、氷のようです。
「す、すみません。わ、わ、わたし、じ、じつは」ミルドレッドは、しどろもどろで、「先、先生が、火にかこまれていると、つまり、けむりが、見えたので、それで、あのう……」
「ミルドレッド」先生は、重おもしく、「あなたは、こう考えたようですね。わたくしが、地獄さながらもえさかる火のただ中につっ立って、平気で生徒を、そんな危険な場所に、集めるようなまねをしたと」
「けむりが、出てたものですから」ミルドレッドは、小さな声でこたえましたが、とつぜん、ジャンパースカートの下から、パジャマがのぞいているのに気がついて、ますます、ばつが悪くなりました。
「もし、あなたが火災訓練のことを、おぼえていたら」と、ハードブルーム先生。「正面の入口から、校庭に出たはずです。だれかさんが、勝手に考えたように、二階の窓からではなくて。それに、正しい入り口を通りさえすれば、校庭にいたわたくしのそばに出られて、わたくしから、です。このけむりは、火災訓練らしくするための、魔法の煙にすぎないから、大さわぎする必要はな激光矯視 中心いんだと。だれかさんは、すぐに、その大さわぎを、しがちなようですけどね」
「わかりました」ミルドレッドは、声をふるわせました。「ごめんなさい、ハードブルーム先生」
「列にならびなさい、ミルドレッド」ハードブルーム先生は、命令しました。「最後に、いっておきますが、あなたのまのぬけたいたずらも、今学期は、これっきりであってほしいものですね。エセル、すみませんけど、わたくしが、こおりついてしまう前に、タオルとマントを取ってきてくれませんか?」
「もちろんです、ハードブルーム先生」エセルは、担任の先生には、にっこりわらいかけましたが、ミルドレッドのそばをとおるとき、ものすごいしかめっつらをしました。
ミルドレッドは、モードとイーニッドのとなりに、ならびました。
「いいかけんにしないと、まずいわよ、ミ
Posted by 風に吹かれて at
12:29
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