2017年03月22日

には命を賭けるこ

 
スト、バター、砂糖などを用意し、コーヒーまで沸かしてあった」(リー、前掲書)
 日本政府が集めた通訳のなNeo skin lab 美容かには、二、三人の戦前からの顔馴染みもいて、リーたちは今まで日本を敵国として戦ってきたことが、一瞬信じ難い気さえしたという。

 しかし、記者たちはこの朝食中もあまりくつろがなかった。彼らの幾人かは旧知の日本人をつかまえて、いち早く日本の現状を探ろうとしていた。大空襲で焼野原と化したという東京へ、誰もが一番乗りしたがっていた。
 そこで、間もなく日本側が用意しておいた乗用車数台の奪い合いとなった。それらはそろって年季の入ったアメリカ製中古車だった。リーがいち早く確保し日本旅行團た車は古いプリマスで、彼のほかにブランディッジともう二人の記者が乗った。彼らは、表情を強張《こわば》らせている日本人運転手に、まず横浜行きを命じた。
 この時、第八軍本部からは、東京の様子がわからず、危険分子がどのような行動に出るか予断を許さぬので、東京には公式降伏まで入らぬ方がいいという警告があらかじめ出されていた。まさかの場合を考えて、厚木から横浜に入る道路も指定された。各所に日本兵が見張りに立ち、沿道の人びとはその時間には外へ出ない方がよいという命令が出ていた。記者たちは勝手に他の道を通ってはいけないことになっていた。だが、リーたちはこれを無視して、別の道を通り抜けて横浜入りした。そのため、アメリカ軍が通ることを予期せずに外に出ていた日本人たちを、垣間見ることができた。
「われわれを見て、女たちは顔を覆い背を向け、子供たちは怯えて逃げ出し、男たちは石のように無表情に立っていた。しかしそれから十時間ほどして同じ道を厚木へ引き返した時には、二、三人の子供は『ハロー!』を連発し、指でVサインを作って見せる者までおり、農婦は笑いを浮べていた」(リー、前掲書)
 日本人にあまり危険を感じなかった上、横浜港からすでに上陸を開始していた連合軍兵士の姿を途中多く見て、記者たちはますます意を強くした。スクープのためともいとわない無鉄砲な彼らだ。横浜ニューグランドホテルでビールを飲み、喉《のど》をうるおすや、ふたたび車に飛び乗り、東京めざして車を競った。
 八月の炎天下、爆撃で穴だらけの第一京浜国道を走る中古車は、どれもが、途中でラジエターが過熱して動かなくなり、日本人運転手はバケツを持って水|汲《く》みに走った。そのたびに他社の連中を乗せた車がこれ見よがしにスピードを上げて走り過ぎ、故障車の連中は口惜しがって悪態をついたが、こんどは通り過ぎたはずの車が二、三町さきで動かなくなっているという始末だった。
 彼らは焼けただれた沿道の町々にひどいショックを受けながらも、東京めざして、この少々コミカルなカー・レースを繰り返した。初めは渋い顔をしていた日本人運転手たちもしだいに調子に乗せられ、最後の頃には必死で車を競っていた。
 東京へ入る六郷橋のたもとには鉄線のバリケードが張りめぐらされ、銃剣を持った日本軍歩哨の一団が固めていた。リーたちが記者証を見せて「同盟通信culturelle 香港社へ行きたい」というと、英語のわかる兵が出て来て、公式の連合軍東京進駐までアメリカ人は入れないことに日米間で決め  


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2017年03月17日

ばやく抱擁した


ダーニクはうれしそうに飲んだ。
 ベルガラスがダーニクの肩をぎゅっとつかんだ。「わしらが最後に新しい兄弟を持ってから、きょうまで、ずいぶん長かったよ」それだけ言って去眼紋ダーニクをす。
 セ・ネドラが声をつまらせた。「ああ、なんてすばらしいの」
 ヴェルヴェットがだまって薄くて小さなハンカチをセ・ネドラに渡した。「その護符に描かれているのはなんですの?」金髪の娘はかすかに畏怖のにじむ声でたずねた。
「ハンマーさ」ベルガラスが答えた。「きまっとるだろう?」
「ひとつ提案をしてよろしければ、長老」サディがおずおずと口をひらいた。
「下の平原の両軍は完全な混乱状態にあるようです。出発するには願ってもないときじゃありませんか?――連中がわれに返らないうちに」
「まったく同意見だよ」シルクが宦官の肩に手をおいた。
「そのとおりだ、ベルガラス」ベルディンもうなずいた。「おれたちがここでやるべきことはやった――というか、すくなくともダーニクがやってくれたんだ」魔術師はためいきをついて断崖のふちへ目をやった。「ほんとはウルヴォンはこの手で殺してやりたかったんだが、このほうがよかったのかもしれん。やつが地獄の生活を楽しむことを願うぜ」
 いきなり、尾根のてっぺんから甲高い勝利reenex膠原自生の笑いが聞こえた。すばやくふりかえったガリオンはおどろいて凍りついた。尾根の上に黒装束のダーシヴァの女魔術師が立っていた。そのかたわらには金髪の小さな少年が立っている。ゲランの容貌は誘拐されてからの一、二年で変化していたが、ガリオンはすぐに息子だとわかった。「あたしの仕事をうまくやっておくれだったね」ザンドラマスは声をはりあげた。「トラクの最後の弟子にこれ以上ぴったりの最期を見つけることはあたしにだってできなかっただろうよ。〈光の子〉よ、これであたしとクトラグ・サルディウスとのあいだに立ちはだかる障害はおまえだけになった。〈もはや存在しない場所〉でおまえのくるのを待っているよ。おまえはあたしがアンガラクに新しい神をうちたてる目撃者となろう。その新しい神こそがこの世の終わりまで全世界に君臨するのだ!」
 ゲランがすがるようにセ・ネドラのほうへ手をのばした。が、次の瞬間、かれもザンドラマスも消えてしまった。
「おどろいたこと」雌狼が驚嘆のつぶやきをもらした。  


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